新刊出しました 『安倍晴明記(安倍晴明物語)二 現代語訳』
突然、おじゃまします。
はじめまして、慧 夢之㞼と申します。丸岡さんと共著を出しております。
夏のような暑い日と、激しい雨の日が交互に来るという今日この頃ですが、本来は、緑も鮮やかな5月のいい季節です。いろいろと世間は心配なこともありますが、
ひきこもりの時間は、せめて楽しい読書タイムにしたいものですね。
この度、5月20日に『安倍晴明記(安倍晴明物語)二 現代語訳』を発刊いたしました。
いよいよ物語も佳境に入り、道満との呪術対決など圧巻です。この本には、テレビや映画でも聞いたことのないような話が多く書かれていますので、訳者にとっても初めての話が多く、ドキドキしてきます。
その一部をご紹介します。
『安倍晴明記二』安倍晴明が安倍童子と呼ばれていた子供の頃、竜宮に行きます。竜宮の様子は、絢爛豪華な建物の立ち並ぶ風景、中でもひときわ際立っていたのは、美しい日本の四季の情景でした。あっという間に過ぎゆく竜宮での毎日は、楽しいものでしたが、きっと童子の心に懐かしい思いが込み上げてきたことでしょう。
作者の流れるような優雅な表現に描かれる風景には、現代の私達も遠い昔を思い出すような郷愁が呼び起こされ、それはまた、懐古の気持ちと共に、日本の良さの再確認を促します。
乙姫の御馳走について
浦島太郎の話で、「どんな御馳走を食べたのか」とネットでもよく質問が出ているようなのですが、答はどこにも書いてありません。私も浦島太郎の話を、風土記などの古典やたくさんの資料や論文を読んでみましたが、メニューまでは詳しく書いてありませんでした。
ところが、『安倍晴明記』に書いてあるのです。この本を書かれたとされている
浅井了意さんは、江戸前期の京都在住の僧侶であり、仮名草子作家でした。儒学・
仏道・神道の三教に通じ、仏教書・和歌・軍書・古典の注釈書などを著されています。
この『安倍晴明記』の中でも、古来中国の神仙思想、仏教哲学など様々の分野での
作者の博学ぶりが窺い知れますので、御馳走メニューについても、作者が江戸以前の古い書物などからまとめられたものだと思います。本当に興味深い話です。ヒントを申しますと、中国の仙薬などが含まれています。ぜひ読んでみてください。
『安倍晴明記二』に続いて、『安倍晴明記三』では、ますます物語の展開に引き込まれていきます。話がとんでもない方向へ行ってしまいます。・・・これでは物語が終わってしまう。・・・これ以上はネタバレになりますので、本日はここまでにしておきましょう。
ただいま並行して、短編の「名馬物語」も執筆中です。名馬は、例えば、一の谷の戦いの鵯越(ひよどりごえ)の話に出てくる、畠山庄司次郎重忠(はたけやましげただ)の馬である白波(しらなみ)、巴御前の春風、三国志の話に出てくる的盧(てきろ)、赤兎馬(せきとば)、項羽の騅(すい)、その他の話です。
全話で十五、六話程ですが、名馬に焦点を当てて歴史話が始まります。馬と人との愛情を描いた良い話を集めてみましたので、多くの人に知っていただきたいと思います。
私たちは、これからもいろいろな面白いもの、古典文学、古文書などを発掘して、
皆さんと共に楽しんでいけたらと思っておりますので、引き続き、よろしくお願いいたします。
**古文には、古文ならではの醍醐味があります。例えば、晴明物語でも、古文独特の雰囲気を持っているので、完璧な現代語には直しておりません。また、多くの写真や図などを掲載し、より分かりやすくなるように工夫しておりますので、古文は難しそうだとか、学生時代、苦手だったと言われる方も、きっと好きになってもらえることでしょう。