易経書経講義 周書 金滕 その6

 こんばんは。丸岡優です。途中になっておりました、周公旦のお話の続きです。

 

 周公は、既に吉卜を得て、すなはち曰ふ、われ今、兆(うらかた)の形体を観るに、定めて吉なり。斯くの如くんば、王の疾は、必ず生命に害あるまじ。われ、小子(周公自ら指す)新たに、三王の命を受けたり。然らば、これ永く、この図(周の王業を固めること)を、遂げ終はるを得ん。ここに俟つ所は、三王の、能くわが元孫一人を念(おも)ふて、安寧ならしめ、わが初願に、負(そむ)かざること、これのみ、となり。」これ、周公、深く喜悦したるの詞にして、忠誠の言、表に発したる所なり。

 

 占いの良い結果が出て周公旦は言いました。「今、占いの結果を見てみると、吉であることは間違いありません。このようであれば王の病は命に別状はないでしょう。そして私は新たに三王の命令を受けたので、長い間この周の王業を確固たるものにすることができるでしょう。三王が武王のことを思って身の安全をはかり、私の初めての願いを全うすることを待つばかりです。」

 これは周公旦が深く喜んだときに発した忠誠の言葉でした。

 

 周公は、既に吉卜を得て、大に喜び、三壇の祭場より、帰つて、すなはち彼の祝冊(すなはち、のつとの冊子なり)を、金を以て、緘(かん)する所の匱中に納め、入れて、以て三王(太王、王季、文王を云ふ。)の命を待つなり。周公の至誠、豈に三王の霊に、感ぜざらんや。

 周公旦は、吉が出たので大いに喜び、三壇の祭場から戻って、そのままあの祝冊(祝詞の冊子)を、金で緘じた匱の中に納めて、三王の命令を待っていました。周公旦のこの上ない忠誠心に、どうして三王の霊が感動しないでしょうか。

 

 周公が、祝祭したる、翌日に、武王の癘疾甚だ危ふかりしにも、拘(かかは)らず、果たして、周公の至誠、三王の霊に感じて、武王の疾、すなはち瘳(い)えたりとなり。

 周公旦が儀式を行った翌日、周公旦の誠実さに感動した三王の霊のおかげで、あれだけ危険だった武王の病も、すっかり癒えたということです。